リメイクブームを考える

 はっきり言おう。今の世の中でリメイクほどもてはやされるものはない。なぜ?それは新しいものを創作する意欲がそもそもないからだ。みんな借りものだ。そりゃ誰だってジミヘンのようにギターが弾きたい。でも、観客にジミヘンっぽいと感ずかれれば、それでおしまい。なぜ?そこでその人の持ち味が出せないからだ。自ら能力に限界を設けてしまっている。これと同じことが音楽、お笑い、絵画、ドラマ、映画など、とかく創造的能力を要求される分野でかまびすしい。ここ数日間、テレビを見ていた感想だ。はっきり言おう。来年以降、パクリで商売してるヤツらは全員つぶされる。少なくとも、今ある活躍の背後に、過去の偉大なる創造者の賜物であると、認識しない限り、つぶされる。偽物がもてはやされる世の中の背後に何があるか?宗教だ。
 第二の予測。来年以降、カルト宗教が流行る。金融危機など暗い話題で持ちきりの世の中。個々人の幸福感も歪みつつある。そして、最後に頼るのは宗教だ。科学技術が最高度に達した今、人々は真の幸福が何なのか、手探りで移動する状態にある。そんな時、優しくも、愚かしげに偽りの愛の手を差し伸べるのが、宗教だ。当然、個々人の努力では成し遂げ得ない、非現実が展開され、もてはやされる。90年代の超能力ブームもこれと似ている。創造を手放せば、過去の偉人に盲信するかのように、宗教に頼ってしまう。それだけではない。
 宗教にもう一つ、破壊に盲従するということが言える。言うなれば、美意識も、破壊の一種である。美に関する情報は、期せずしているうちに、雑誌、ネット、テレビのCM、映画などからどんどん押し寄せてくる。それらをどこかで打ち止めにしないと、美意識の支配から逃れなくなる。退屈力でもいい。精神メタボにならないうちに、一方的かつ受動的立場を改める必要がある。つまり被虐的な、受け身一辺倒なやり方は、愚かだということ。恐らく、この議論については、ここには書き切れないと思う。際りがあるまい。