短パンにランニング、赤い日傘にゲタを履いて丸刈り頭がトレードマークといえば、もうおわかりだろう。裸の大将がDVDになったらしい。三巻まであり、始めから97年の最終回までほぼ収録されている。恐らく全部だと思われるが、どこかのブログにもあったように、本人山下清が死ぬシーンまでを打ち切りと考えていたエピソードが特典映像とされている。制作サイドはあそこまでのロングセラーを見込んでいなかったのではないか。
 この裸の大将の最大の特徴というと、主人公のキャラクターであろう。日本各地を放浪して、訪れる場所ごとに、何らかのもめごとに遭遇する。清は知らず知らずのうちにその間に入り、時には縁結びまでやってのけてしまう。いわば、本業とは乖離した、旅するトラブルの調停人のような役割を担う。と思いきや、それだけではなく、お約束の一枚の絵をいつの間にか描き上げ、引き上げようとしたところを敵対していた村人たちがどこまでも追いかけていく、という今から思えば有り得ないベタベタな展開なわけだ。それが「かゆいところ」となり、誰しもが待ち望む結末となる。
 ただ僕のように、本物の山下清を知らない人間からすれば、どうか。小さい頃は何の疑いもなく、あれが本物に違いない、と思って見ていた。ところが本物は生来口数の少ない人だったらしく、本物を知る人ならば、あのドラマはあまり馴染めないというのが実感であろう。ドラマだから、多少の脚色は仕方ない。いずれにしても、山下清を知るいいきっかけにはなる。プロデューサーもそう踏んだに違いない。芦屋さんが亡くなり、ドランクドラゴンの塚地が二代目をやって、若い人々にも影響を与えている。こうしたことがDVD化に踏み切ったのかもしれないし、前々からのファンの要望かもしれない。