家族で有馬温泉に行ってきた。寒いし、疲れているので本当は行きたいとも思わなかった。でも、行ってみると同じような退屈な顔した家族連れが温泉街をゾロゾロ歩いていた。それに、我が家では父親が強権的なので、こっちがいくら理想的な提案を打ち出しても、すぐつっぱねられる。家族の序列では自分は最下位にある。旅行の行き先すら、人生の方向すら、こうなくてはならない、みたいな設計図がおあつらえに用意されているのだ。資金的余裕さえあれば、こんな家とっとと出て行ってやりたい。…まぁ、正月早々ですから、こんな愚痴は言いたくないもんです。はい。まぁ、旅行といっても、疲れに行くようなものだ。大雪の予報をものの見事に外してしまう悪運も、長くは続かないだろう。
 着いたときにはすでに初雪。二階に通されると、真横に古びた卓球台。いかにも、マンガに出てきそうな雰囲気。温泉は普通のお湯と、茶色の湯の二つがあり、茶色い方は塩分濃度が高く、とても熱かった。翌日、ここ有馬では行事の一環として、入初式なるものがあり、ちょうど見ることができた。カメラクルーのそばから、シキリキの音を鳴り響かせ、正装した人々が大列を成して、上の方からやってきた。毎年恒例の行事らしく、温泉街の発展を祝うために行われる。なかなか面白い光景ではあった。
 去年の情勢から言って、今年もおそらくは一波乱ある年だと思う。しかし、今年こそは自分にとって実り多き年になるよう、切にお願いして帰ってきた。