本日は、夏休み最後ということで世間を騒がせている尖閣諸島事件について、各国メディアがどういう反応を示してい

調べてみた。保守的な論調に偏る日本のメディアですが、片面だけでは真実は見えてきません。物事は両面見る必要があ

るので、中国メディアも取り上げてみます。全部で5紙挙げます。内容はすべて英文の要約です。いつも通り。まずは穿っ

た内容のwashington post紙から。

 
 from the washington post(9/25付)

 
中国は漁船船長釈放を求め、協議の延期、日本人学生の訪問中止、邦人会社員4名の拘束などを行うとしている。7月、クリントン国務長官は、中国と南シナ海の領有権について協議を行い、これにはヴェトナムなど東南アジア諸国10カ国も加わり、中国を非難した。他方数人の米高官によると、中国の人民解放軍や国営石油会社などが南シナ海の領有権を強く主張するよう働きかけているという。

 
こうした利権争いの高まりには、大きく分けて2つのファクターがある。一つは中国側の指導者の不在だ。胡国家主席
8年間共産党を率いてきたが、完全に政権を支配しているのではなく、02年に政権を握った後も江沢民国家主席が、中国
軍の代表として2年間留まった。胡国家主席は、共産党執行部の9人のメンバーのうちの一人であるが、そのうちの5名は江
沢民元国家主席側の人物が占めている。中国外務省の影響力は弱まりつつあり、外交政策の現最高権力者の戴氏は、共産
党執行部に属していない。二つ目は中国メディアが中国の外交政策をくじいている点だ。プロパガンダ省は、国営報道機関が国内における共産党の立場を強化するため、外国政府の非難を認めている。 



…すなわちワシントンポストでは中国政府内の影響力のなさと、中国メディアにたいする国家による圧力をポイントとしている。利権獲得のためにはメディアをも掌握しようという、中国政府の貪欲さが露見された記事。



 
 その次は新華社通信から。中国のお膝元のメディアなので、当然保守的な論調。今後の展開を見ていくためにも、批判

的なメディアも参考になるだろう。軽い意味で取り上げたので、深い意味はない。

 
from the Xinhua News(9/25付)


中国外務省は船長帰還後、声明のなかで日本にたいして「強い抗議」を表し、中国人船長にたいする拘置、取り調べや
いかなる司法手段も非合法かつ無効であるとした。同声明のなかで、中国は日本側に同件にたいする謝罪と補償を求め
た。

 
中国はすでに地方、閣僚級の相互交流を停止しており、日本に渡る中国人民の数も減少している。中国人民、ビジネス
マンの多くが日本への渡航をキャンセルした。

 
釣魚島(尖閣諸島のこと)は、明王朝初期以来、中国の領土であり、1783年と1785年には琉球王国の国境が記された地
図が日本で出版され、これによれば釣魚島は中国に属すことを示している。



…一体、この国は何年前のデータに頼っているのだろう??そんな大昔の地図まで引っ張り出してきてまで、石油や天然

ガスの獲得に目の色を変える中国の本性を見た。領土云々の前に、歴史認識からやり直す必要がある。


 
 3つ目はL.A.Times。少し遅い記事ですが、これしかなかったので載せます。


 from latimes(9/23付)


メディアの報告によると、中国は23日、ハイブリッドカーなどに使用するレアアースの輸出を削減するとした。日本が拘束した中国人船長を裁判にかける手はずを整えていることに、中国政府は反発し、今秋予定していた日本との閣僚級の会合を見合わせた。中国高官によると、温首相はニューヨークで開かれる国連会合の開会中は、管首相との会談は行わないと述べた。

 
緊張関係が悪化するなか、同日のニューヨークタイムスによる報告によると、中国税関当局はレアアースの全面禁輸を行うとした。レアアースハイブリッドカー、風力タービン、誘導弾などに使用される。中国側はレアアースの輸出規制は、世界貿易機関の規則に反するものではないとしている。


レアアースの禁輸については、日本の新聞で確認した。実際、このようなことが起これば、自動車を中心とした産業界への打撃は凄まじい。


 4つ目はアジアのStraits Times紙から。


 from the Straights Times


中国外務省は、サイト上に強い語気で述べられた声明を載せた。これによると「同件は中国の主権と人民の人権に違反した行為であり、中国政府はこれを強く抗議する」としている。さらに「尖閣諸島の中国の領有権は明白」と付け加えている。


…アジア系の新聞はどうしても一面しかとらえない傾向があるように思う。このStraights Times紙も、一面的な報道で終

わってしまっているのが残念。





 最後は、アルジャジーラを取り上げてみたい。イランの核開発にたいする国連制裁が高まるなか、中東メディアとして

はどんな反応を示したのか?



 from the Aljazeera(9/25付)


中国人船長の釈放後、謝罪と賠償を求めた中国外務省にたいし、日本の外務省は「尖閣諸島をめぐって和解を要する領土問題は存在しない」と述べている。9月17日の内閣再編の間、岡田前外相は謝罪と賠償を求める中国政府を非難した。

共同通信によると、日本側の外交官が拘束された邦人社員4名と面会した述べたが、仙谷官房長官は中国船衝突事故と日本人4名の拘束事件とのつながりを否定した。

中国外務省発表の声明によると、日本と中国は会談を通じて議論を解決すべきだとしている。両国の議論は日本の戦時下の占領と、豊かなガス資源の眠る東シナ海の一部をめぐる領土の議論により関係の脆さを強調した。


…この報道は少し変わっている。まず、今回の議論が噴出している着眼点に、戦時下の占領問題まで取り上げている点だ。これは記者の認識不足かもしれないが、実際にそうだとすると問題は単なる領土問題だけでは収まらないだろう。
このほかにも様々なメディアが「尖閣諸島問題」を取り上げているが、今回は少し視点を変えて、海外のメディアがこの問題をどう捉えているのか、ピックアップしてみた。