ヴォランティアを始めようかと思う。いろいろ考えたが今まで全く社会奉仕してこなかった。関心もなかった。幸せは毒だ。自分に取り込み過ぎるとろくなことはない。幸せを全部独り占めしてしまえば(つまりそれは本来他の人のためにあったかもしれない)必ず不幸になる。だからかたちを変えて少しずつでもいいからお返ししていくつもりで何か奉仕がしたい。
 しかし、やってやるんだという押し付けではなく、あくまでさり気ない気遣いで。さっそく近所の市役所で施設をいくつか紹介してもらった。内容は高齢者のデイケアサービスでお年寄りの話し相手になってあげること。大変かもしれないが、さまざまな知恵を借りるいいチャンスかもしれない。戦争のこと、育った時代のこと、兄弟のこと、家族のこと、いろいろ聞けるのではないかと思う。うちの祖母も会えばいつも先祖の話を聞かせてくれる。祖母の祖父は職業軍人で明治の日清、日露戦争を駆け抜けた。しかし戦場で帰らぬ人になった。われわれは昔のことなど何にも知らない。知るためにはある程度自発的な努力も必要だろう。歴史の本で外形的な事実を知っているだけでは不十分で、そういうことを伝え続けていく人が一人でも多くいないとダメだ。やっぱり。日本はますますダメになる。