大学の編入先は当面のところ文学部と決めている。三島由紀夫とワイルド、あるいはヴァタイユとの比較文学に関心があるからだ。そもそも日本での耽美派の動きはどうだったのだろう?一切の道徳的功利を排して美の形成、完成を最高価値に求める耽美主義は明治末期からイギリス、フランスの影響を受けていた。おそらくイギリス、フランスから入ってきてそのまま広がったとみる。日本の場合の耽美派には、有名なところには永井荷風や谷崎がいる。当時のイギリスはヴィクトリア朝の真っ盛り。産業化で社会が大きくうねり出した時代。それと同時進行するかたちで自然主義が花咲く。日本でも前後して自然主義が盛んになる。レアリズムですな。いわゆる。理想化は止めて現実をありのまま、感じがまま描こうとするフランス源流の芸術運動。
 耽美主義が「芸術のための芸術」ならばリアリズムは「ありのままの芸術」をみつめる芸術だ。絵画に人間が描かれるのもこの頃始まった。それは同時にロマンチズムの退廃を指す。神様やロマンが当たり前な時代が一段落終えた時代。
三島がワイルドに影響されているとは聞いたことがあるが、それが後の三島文学にどう響くのかはまだよくわかってない。ワイルド自体読んだこともない。
 やはりこういう研究は比較文学になるのか?興味を持ったのが三島で、運動の変遷についてはよく分からないことも多い。でも運動の流れを知るのはとても面白い。外国の思想が明治期の日本にいかにして輸入されたか?その芸術運動が栄えた社会の状態はどうだったのか?そもそも当時の日本人は文学を読んだのか?山ほど知りたいことがある。