先々月の読売新聞だったか、朝、カレーを食うと頭が良くなる、とあった。根拠に乏しいB級ニュースにしか思えなかった。カレーが売れなくなると、食品会社はこんなこともするのか、と不思議に思った。そんなことはどうでもいい。今日、世の中はあまりに結果を出すことばかりに傾き過ぎているように思う。試してみて、くだらないと始めから分かつているのなら、誰もそんなことはしない。世の中の人間が簡単に結果を欲しがるからだ。
 そして、どうせ結果を得るなら、良い結果がいい。でも、自分にはそんな超能力はない。だから、他のものに頼ろうとする。極端な話、一夜漬けで東大に受かるより、はるかに難しいことを結果として望もうとしている。まず、そういう情報は、もうすでに過去に何度もどこかに登場していて、広く知られていることが多い。忘れかけたころにやってくる古い友人のように。過去の同様の経験則に従えば、こういうことは過去にも、きっと何度かあったはずだ。がせがあまりに多過ぎてどの情報が役立つのかわからないのだ。簡単にそういうのを信じる人は、科学的成果の覗き見趣味的快感を味わいたいだけだ。結果ばかりを追い求めるのが科学の価値を貶めていると、いい加減気づいたらどうだ?そんなことしても、素人の目は欺けないヨ。
 これが最近の人々が、簡単に「成功」「成功」と言い出す理由だ。結果のハードルが高い俺には痛いニュースだった。