昔、最後の晩餐というバラエティー番組があった。昔のビデオを探していたら、いっぱい見つかった。鶴瓶、浜村、キダ、らも、平井など関西のおっさんタレントたちが、体当たり的にこなす、人気番組で、放送自体はすでに終わっている。
 一番面白いと思ったのは、タローがお寺のオショーサンに扮して、門答するやつ。「わーしーらー、おっさん5人組ー」って…。らもの怪しさ満開です。あとは、擬音祭りかな。お題を音だけで言い当てるという、即興企画で、タローが一番ハマっていた気がする。ジェットコースターの絶叫とか。どう考えても、70過ぎのじじぃには見えんな。「食事されたのは何を食べられたんですか?」「えーラーメンです。」ここで思いっきり吹いた。そういう卑しさに鶴瓶が一言。「ゴミ箱」と呼んでみたり。あと、キダと鶴瓶のこういう小競り合いもこの番組の見ものだった。その小競り合いを止めるでもなく、ボケーと観察しているらもと浜村、それに、痛い毒を吐く石野や平井。
 一見、キャラクターがばらばらなことをやっていそうで、それでも同じ一点だけは見つめているような、その個性の点と点との集まりが、空気のように、一瞬にして凝縮される瞬間がある。つまり、あれを見ると、年齢も職種も全然違う。回は忘れたが、らもが「異種格闘技」と言ったように。その集まりが一緒に同じものを作り上げていこうとする、雰囲気が最高潮に達する瞬間があるのだ。それは、今言った鶴瓶とキダの小競り合いであったりするし、浜村の意外な変態ぶりであったりもする。誰かが爆弾を爆発させて、一気にはじける感じに似ている。そして鶴瓶のあの地獄の底のような、カエルのようなヘンな笑いがかぶさっていく。
 あれは、まさに伝説の番組だった。あんな番組は、世界中どこにもない。是非とも、DVD-BOXにでもして欲しい。