田舎のネコ

 寝静まったころ、どこからともなくノラのヤツがやって来た。聞くとそのネコは、メス3歳だと言う。ネコの気配に気づいて起き上がって、叔母といろいろ話し込んでいると、話を聞くような、少し顔を傾けてこちらを見ていた。やはりネコとはいえ、人間の言っていることが理解できるらしい。目が合うとネコは、そそくさと逃げてしまった。その仕草が可愛く、印象に残った。うちはマンションなのでペットは飼えない。田舎とは住宅事情が違うし、広くはない。それに、田舎では残飯はすべて家畜やらブタやらのエサにあげてしまうらしく、経済的でもある。都会では容易に飼えない理由の一端かも知れない。
 しかし、我々都会の人間からすれば、時々行くからこそ、田舎の良さを発見できるわけで、実際はすごく住みにくい場所でもある。聞くと、田舎の農業は、機械がいる。全自動なわけで、その維持費たるや馬鹿にならない。要するに、競争原理とは無縁とも思える農家でさえ、こういう実態なわけだ。農家にも、競争原理を取り入れる秘策として環境産業とを融合したビジネスがあるらしい。山地を開拓して、ビジネスの経験もない人達に、ノウハウを教え込む。若手不足を観光で補う政策らしいが、従わないほうがいい。食い物にされるだけだ。食い潰されるのは目に見えている。成功すればいいが、農地に頼るしかない農民にとってみれば、失敗の代償を埋める当てがない。
 それはそうと、「とかいもん」が口出しするのもおかしいが、たまの田舎暮らしも良いものだ。