これを受け取るかどうかは、どれくらい多くの人が今の自民党政治に期待を表しているのかにつながる。俺は断固定額給付金の受け取りを拒否したい、以前どこかで主張したことがあった。これは変わらない。まず、4つの点で異議を唱えたい。一つ目は、だれがこれを強く要望したのか、ということ。二つ目は、財源について。三つ目は、これによる経済効果について。四つ目は時期について。
 一つ目から。まず、この政策のはじまりこそ、自民党の後ろにくっついている公明党が強く後押しした政策だということに怒りを感じる。在外邦人を除く日本国民ならば、申請すれば誰でも給付してくれる。この誰でもという点、使い勝手がよすぎる言葉だと思う。つまり、受領に際し、皆さん一律で、というのは共産主義みたいで、気持ちが悪い。誰も参加してただで鉛筆がもらえるリレーに俺は参加する気はない。こんなムシのいい話が許されるはずがない。だったら、地元の中小零細企業を救済するほうが、先のような気がする。昨日付の新聞にも、長期赤字の企業は公的資金は受けられないとあった。個人は救済しても、企業はいつまでも差別するのがこの国の実態だ。
 二つ目。財源。まず、どこからこの財源を引っ張り出してくるのか?安倍さんの頃と、えらい違いだな。歳出削減ばっかり唱えてたはずだろう?政府は無駄なお金を出したくないはずだ。だとすれば、減税が先だ。そもそもどっからの財源なのか。きっちりわかりやすく説明されたほうがいい。
 三つめ。経済効果。財務省の統計データを見てもらうとわかるが、定額給付金に割かれる財源はほかに比べると、微々たるものだ。たかだか2兆円足らずの財源で果たしてどの程度の経済効果が図れるのか?国の借金と個人の貯蓄を差っ引いても及ばない額だ。具体的な数値目標は出していないし、総理もいい加減な答弁で逃げ切ろうとしている。これも、選挙対策の一環だとすれば、受け取る気持ちはさらさら失せる。たとえば、20代、30代の単独世帯のことを考えてほしい。現役で働く数少ない人口が、多くの老人たちをおんぶしている状態だ。これで堂々と、お金を使えるわけがない。われわれ20代も、将来のために、猛然と貯蓄に励まざるを得ない。だから、これが却って貯蓄率を一層高めてしまうことにはなるまいか?だとしたら、いったい、誰の、何のための定額給付金なのか、わからない。
 四つ目。時期。去年、リーマンが破たんして、日本も一気に景気後退に陥った。住宅、建設を中心に倒産が続いた。90年代に入り、政府は同じように中小企業にお金を回したが、元気にならなかった。地域振興券だって、大した効果につながらなかった。こうしてみると、いつも悪くなってから、慌てて対策に打って出ているように見える。こういうことはもっと先を見越してやっておくべきだ。事後の救済策ばかりでは、地方は活性化しないし、財源も安定しない。そもそもなぜ、この時期なのか?それならならば製造業の派遣切りを止めさせて、一刻も早く雇用創出を急がねばならない。
 まとめると、こうした景気の悪化状況の中で、対策を打つタイミングが悪かったこと、受け取りたくても、個人賞の落ち込みにより、すべてが使われずに貯蓄に回される可能性もあるということ、バラマキより企業の支援、救済のほうが先だということになる。個人的には金額云々ではなく、自民党政治に期待しているからこそ、受け取らないのであって、政府はきっちりとした数値目標を国民の前に示すべきだ。経済効果が見込まれぬ、給付金などドブに抛ってしまうのと同じである。