明日と二日続けて、両親は田舎の結婚式に出ている。つまり、俺は今一人だ。このままどこかへ飛んでいくこともできる。今まで何度そう思ったことか。鳥かごの中の鳥ならば、今はそれでいい。大好きなギターも今日は弾かず、ただただ黙想していた。こういう沈黙も大事だ。真実の瞬間だ。
                 「魚の目で見る星空は 窓に丸い形」
陽水の「積み荷のない船」という曲の詩。今では、月の裏側まではっきり見える。積み荷の沈んでいく風景を、一人の男が何もかもやり終えて、終末を迎える悲劇的な死を連想させる曲。死ぬときは何もかも空っぽの状態でなければならないことを改めて痛感する。お金?地位?名誉?そんなのあの世まで持っていける?当時の陽水は作品づくりに悩んでいたのだろうか?
 朝のうちに買い出しに行く。昼、ラーメンを作った。ピーマン、モヤシ、西洋人参、ネギを先にゆでておいた。夜、パスタと簡単な野菜炒めを作った。野菜炒めはあり合わせの食材で。この時、卵料理の奥深さに気付く。たかがスクランブルエッグが、と思っていたが、これが難しい。以前、お気に入りのトマトソースが、アムウェイに売っていた。ポール・ニューマンのシリーズで旨かった。その後、その辺で売っているのは甘すぎて食べれなくなった。程よい酸味とスパイスがよく合っていた。あれ、もう買えないのかな。