今年は脱兎のごとく過ぎ去った。世界的な経済危機を迎えて二年目となる今年、株価は7000円台に突入するなど不安定だった。昨日の大納会では少し上がったという。4月には豚インフルエンザが大流行した。少し脱線するが、この時初めてネイティヴが食用と放牧・牧畜用で単語を使い分けていることが分かった。記事で最もよく見かけたswine(豚)は、もっぱら家畜段階を表すのに対し、食用にはpigやporkが用いられる。だから、記事のタイトルにはpig fluやpork fluなどとは使われなかったわけだ。他にも、sheep-mutton,cow-beef,bird-chickenなどがある。探せばもっといくらでもあろう。とにかくネイティヴはねちっこく使い分けないと気が済まないのだ。

 閑話休題。4月に続いて今度は中国の新疆ウイグル自治区で大規模な暴動が起きた。漢民族と少数部族らによる対立であるが、こうした至ってシンプルな武力対立はどんな国にもある。中南米に目を転じると、ホンジュラスのセラヤ大統領が国外追放されたし、タイではアピシット政権が発足し、タクシン首相は英国に亡命中ときた。赤シャツ隊(タクシン派)と黄(アピシット派)の対立は、部族の対立感情を無視して、イデオロギー対立にまで踏み込んだ。タクシン氏は遍く地方に利益を浸透させたのに対し、富裕層に支持者をもつアピシット氏。ホンジュラスでは今もなお軍事政権が国家を掌握しており、セラヤ大統領の大統領職復帰はほぼ絶望的だろう。

 一方、つい最近の記事だが、今年のイラクにおける暴力による犠牲者の数は最も低く、昨年の6748人に対し3114人であった。背景には米軍撤退が決定したこと、イラクの治安部隊が市街地周辺の警備を占めるようになったことなどが挙げられるという。今後どれだけ選挙などの立法措置が整うかが真の安定化につながるのではないかと思う。中東の経済界ではドバイショックが後を引きずる格好となった。ドバイにはアルカーイダなどが資金洗浄の場として利用していることで有名だ。他方、貧しい国から多数の出稼ぎ労働者を雇い、低賃金で働かせていることなども知られている。世界中に轟いたドバイショックで、当地での数多くの工事の着工件数が延期されている。

 環境をめぐっては国連加盟国を中心にCOP15デンマークで開催された。だが、最終的には先進国が貧困国に資金拠出を行うかたちで妥結し、何の削減目標も出されないまま終わってしまった。京都議定書との対照が示せなかったのが残念だろう。そもそも「1990年比」などという基準年はどうやって決められているのか?本来的には非公開らしく、それが科学的見地から決定されたものなのかどうかは疑わしい。兎に角、日本があれだけ大見栄を切って削減に関する誇大宣伝を放っておきながら、削減目標を達成できなかったならば、これは古来稀に見る大嘘つき国家として、汚名が世界に浸透することだろう。

 暮れも押し迫って鳩山首相は、インドへ飛んだ。このタイミングがわからない。経済新興国の一国として、絶対の発言力をもつインドだけに、韓国より先んじて経済協力協定を示すべきではなかったのか?やはりあの首相はブレている。普天間基地移設問題にしても、社民党などが足を引っ張り、年内移設は先送りとなった。年金記録の照合も先送り。地球温暖化対策としての環境税も先送り。かろうじて来年度予算だけは年内に通ったが、本当に満足できる予算なのか。